2011年08月28日

44. ルチファンクションディスプレイを修理しました

今から5ヶ月くらい前のことです。
うちの407を運転中、突然ダッシュボード上のマルチファンクションディスプレイが消えてしまいました。

(上の写真は、正常だった頃のディスプレイです。時計やエアコンの設定温度、外気温や燃費などが表示されます)
「接触不良かな?」と、ディスプレイのフード部分を叩いてみましたが、直りません。

ところが、エンジンを止めて再始動すると、エンジン始動直後だけ3~4回、ほんの一瞬だけディスプレイが点灯しますが、あとは真っ暗に消えたままなんです。
毎回、エンジン始動直後だけ一瞬点灯することから、単純な接触不良ではなく、基板の不良だと思われます。
しかし、僕のこれまでの経験から、こういった欧州車の電装パーツは、目が飛び出るほど高額なことが多いので、ディーラーさんに修理を依頼することを躊躇してました。
そんな折、僕に時々メールで情報を頂いている407のクーペにお乗りの「バーディーン」さんから、『自分で基板のコンデンサを交換して、修理しました』というメールを頂きました。
しかも、『ディーラーさんに尋ねたら、修理代は10万円~12万円との話でした!』とのことでした。
どひゃ~っ! やっぱりそんな修理代なんですね!!
それにしても、何というグッドタイミングな情報なんでしょう!
しかも、交換したコンデンサは、「1個、たったの100円前後」だとか。!!
「バーディーン」さんからは、ご丁寧に取り外した基板の写真などもメールで頂いたので、これは僕もやるしかない! と、「バーディーン」さんと同じ型番のコンデンサーをネットで探して注文しました。

コンデンサが届いたので、いよいよディスプレイ部分を取り外します。
「バーディーン」さんは、ディスプレイの脱着と取付作業をディーラーさん依頼されたそうですが、僕は貧乏性なので、自分のガレージで作業です。
ディスプレイのフードは意外に固くて、ちょっとくらい手で力を入れも、ビクともしません。
試行錯誤した結果、まずはフードの手前にある、編み目状のエアコンの上部吹き出し口を外すことにしました。

編み目状の上部吹き出し口(プラスチック製)の周辺にマイナスドライバーを差し入れて、注意深く、どこにツメがあるか探します。
するとツメは、左右と手前と奥の、それぞれ縁の部分にあることが分かりました。
左の写真は、左右の部分です。
ツメの部分に小さなマイナスドライバーなどをあてがって、少し手前にずらしてやると、外れます。

手前の部分は、吹き出し口の開閉ダイヤルのすぐ傍に、ダイヤルの左右部分にツメがあります。
こちらのツメは、左右から内側に摘むようにすると外れます。


編み目状の上部吹き出し口を外すと、フードの足元が見えてきます。
フードは、このような金属製のクリップでダッシュボード押し込まれています。
このクリップのツメの部分をマイナスドライバーなど押し込みながら、フードを上に引き上げると、このように持ち上げることができます。
クリップは固いので、かなり力を入れないと抜けません。
プラスチック部分を折らないように、慎重かつ大胆に作業します。


片側のフードが外れたら、反対側のフードも、クリップのツメを押し込みながら上に持ち上げます。
クリップを押さえながら、プラスチックのツメを折らないように、力を入れて上に引き上げます。、


すると、バリッ! と、フードが外れました。
フード側面の、手前側のクリップはこんな形をしています。
この形を良~く覚えておいて、クリップのツメを上手に押し込みましょうね。


フード側面の後側のクリップ(写真の右側のクリップ)は、手前のクリップ(写真の左側)ほど、大きなツメではありません。
後側のクリップは、フードの位置決めのためにある程度で、フードを上に持ち上げると、簡単に外れました。


フードの一番奥のツメには、金属製のクリップはついていません。
L字型に曲がったプラスチック製のツメが2カ所あるだけなので、一番最後に外します。
逆に、フードを取り付ける時は、奥のツメから最初に差し込んでいきます。


フードさえ無事に外れれば、あとの作業は簡単です。
ディスプレイと基板が一体になったユニットが、ダッシュボードに突き出ています。
(ディスプレイの手前は、エアコンの風を上部に吹き出すための穴です)


フロントウィンドウ越しに見ると、ユニットは、こんな形で取り付けられています。
白いユニットの手前にある黒い箱は、エアコンの日照センサーか、オートライトのセンサーではないかと思いますが、良く分かりませんでした。(笑)

ディスプレイユニットは、左右の2カ所で、E型のネジ(頭の凹みが星型になっているネジ)で取り付けられています。
E型のネジを緩めるために、星形をしたT型のビットをソケットに付けて回します。


最後に、ディスプレイへの電源ケーブルのコネクタを外せば、ディスプレイユニットを取り外すことができます。


ユニットを室内に持ち込んで、構造を研究します。
液晶部分は傷つきやすいので、取り扱いは慎重に。


ユニット背面の白いプラスチックカバーは、6カ所ほどのツメで基板部分と組み付けられています。


ツメを押し込みながら、プラスチックカバーを外します。


すると、液晶の背面に基板が取り付けられています。


この基板の写真中央、手前にある赤い電子パーツが、問題のコンデンサです。
「WIMA」という、ドイツの有名なメーカーの製品なのだそうです。

「バーディーン」さんからは、写真付きでコンデンサの規格を教えて頂いてましたので、ネット通販で同じ「WIMA」製のコンデンサを購入してありました。
「耐電圧=250V  容量=0.22μF(マイクロ ファラッド)」という規格です。
価格はなんと、1個たったの「158円!」なので、念のために2個購入しました。


ところが、ここで問題発生です!!
使用されていたコンデンサは、耐電圧は「250V」で同じですが、容量が「0.1μF(マイクロ ファラッド)」と印刷してあります。購入しておいたものと、容量が半分以下なんです。
「バーディーン」さんから頂いた基板の写真と見比べると、配線レイアウトもほんの少し違うところがあるので、同じ407でも、異なるロットが何種類か存在しているようです。。。。(泣)
ネットで色々調べましたが、部位によっては、「容量が多少異なっても問題ない」という話もあります。
しかし、2倍も違って大丈夫なのか、確証がありません。
「バーディーン」さんにもメールで相談に乗ってもらいましたが、ここは大事をとって、同じ容量のコンデンサを買い直すことにしました。


たまたま、翌週に東京へ出張する用事ができたので、「これはしめた!」と、新幹線の車内で昼食を摂って昼食時間を浮かせて、秋葉原で途中下車しました。これまた「バーディーン」さんから頂いた情報を参考に、「東京ラジオデパート」と「秋葉原ラジオセンター」に行って、コンデンサを買いあさってきました。
全てフィルムコンデンサという種類で、容量は「0.1μF」ですが、耐電圧は左から、「250V」「450V」「400V メタライズド」の3種類。それぞれ2個ずつ、3軒のお店で購入してきました。(笑)
どれを使うか考えた末、「耐電圧の大きい方が、熱に強いのでは?」という素人考えで、「450V」を使うことにしました。見た目にも体積が一番大きかったので、熱に強そうな気がしました。(爆)

この青いコンデンサには、「FPD2W104」という型番が印字されています。
「バーディーン」さんに写真を送ったら、「日通工エレクトロニクス」の製品だと教えて頂きました。
その会社のホームページを見たら、このコンデンサは「樹脂外装 メタライズドポリプロピレン フィルムコンデンサ」という種類で、耐熱温度は「-40℃ ~ +105℃」となっています。価格は1個150円程度ながら、なかなか良さそうな製品です。(喜)
写真右側の赤いのが、基板から取り外したWIMA製のコンデンサですが、乗せ換える青いコンデンサとは足の間隔が違うので、青いコンデンサの足をこのように内側に曲げて、基板の穴の位置に合うようにしました。

ところで、外したWIMAのコンデンサは、中央部分が膨らんで、黒っぽくなって焦げているのが分かります。いわゆる「抜け」という症状だそうで、このコンデンサが既に機能を失っていることは、明らかと思われます。

話は前後しますが、基板からコンデンサを取り外すためには、基板と液晶部分を分離する必要があります。
液晶部分の外枠の一部がツメになって基板を固定しているので、これをペンチで捻って、基板を取り外します。


さらに、液晶へ信号を送るシート型のケーブルと、液晶のバックライト電源のコネクタを外すと、基板だけが外れます。
基板の裏側から、WIMAのコンデンサの足に半田ゴテを当てながらコンデンサを抜き取りました。


抜いた基板の穴に新しいコンデンサの足を入れて、裏からハンダ付けすれば完了です。


できあがった基板は、こんな感じになりましたす。
コンデンサの横幅が少し大きくなりましたが、なんとか周りの部品に干渉することもなく、うまくいっているようです。

基板に液晶部分を取り付けて、このあと、白いプラスチック製のカバーも元通りにすれば完成です。
果たして、これで本当に直ったのでしょうか?
はやる心を押さえながら、ガレージに直行です。


ユニットの取付は後回しにして、先ずはコネクタだけ取り付けて、恐る恐るイグニッションON!
すると、液晶が点灯しました!
バンザーイ!! 大成功です!

液晶の日付が「2003年1月1日」にリセットされていたので、設定し直しました。

液晶ユニットとフードを元通りにして、これで正真正銘 完成です!
苦労した取り外しと違って、フードの取付は、金属製クリップの位置をきちんと合わせて、上から押し込むだけでOKです。

いや~っ、こんな光景は何ヶ月ぶりです。
これで、「今何時?」と腕時計を見なくても済みますし、エアコンの設定温度も「体感で調整!」するこも無くなりました。(爆)
特に407は、エアコンのコンプレッサーをOFFにして暖房だけにするには、この液晶パネルを見ながら設定する必要があります。「冬が来る前には修理しないとなぁ・・・・」と悩んでましたので、助かりました。
こんな貴重な情報を提供して頂いた「バーディーン」さんには、何と言ってお礼すれば良いかわかりません。!
本当にありがとうございました! 感謝感激です!!


ところで、私や「バーディーン」さんの他にも、407のオーナーさんには、同じ故障に悩まれている方が多いのではないかと想像します。
そして、「修理はユニット毎の交換になるので、修理代は10~12万円です」と宣告されて、僕のように悶々と悩みながら我慢している(笑)方も多いのではないかと・・・?

「バーディーン」さんのご意見では、「コンデンサが壊れた原因は熱ではないか?」とのことです。僕もその意見に賛成です。


407のマルチファンクションディスプレイの取り付け位置は、フロントガラスの直下で、車内で最も暑さに過酷な場所ですものね。
こんな位置に電子機器を配置すること自体が間違っていると思うのですが、実は、欧州仕様の407の取付位置は、上の写真のように、国内仕様のナビ画面の位置なんです。


欧州仕様の407は、上の写真のようにダッシュボード上に半円形のフードがありません。
あの位置にディスプレイを配置するのは、日本仕様だけなんですよ。
もしかすると、この故障は日本仕様だけの問題かも知れませんね。

何はともあれ、部品代150円だけで直るなんて、なんて凄いんでしょう!