9.タイヤ&ホイールを新調しました |
ベクトラ購入時から計画していたモディファイの中で、一番気になってた(一番資金の要る)タイヤ&ホイールを新調しました。
タイヤ&ホイールの選択にあたり、サンデー・パパが目標としたのは、次です。
1.ノーマルの大味な感じのステアリングレスポンスを、もう少し「シャキッ」とした操舵感にしたい
2.直線・コーナーともしっかりした接地感(要はグリップ)があって、少々飛ばしても安心して走行したい
3.せっかく静かなクルマなので、ロードノイズは静かなこと(やかましいタイヤは絶対にイヤ!)
4.乗り心地も、できるだけ損ないたくない
5.見た目も良いこと!
乗り心地を考えると16インチあたりが妥当なところですが、大金をはたく以上、『おっ!ノーマルとは違う!』と、感動が実感できることもことも重要なポイントです。そこで、「タイヤサイズは215/45−17」「ホイール幅は7.5J」に決めました。
ホイールは、デザインと品質、それに掃除のしやすさも考慮した結果、OZの「Canyon」に決定しました。
オフセットが35mmと、FF用にしてはかなり少なめ(よりツライチになる)のも気に入りました。
「デザイン」の選択にあたっては、机上でシミュレーションして考えました。(笑)
問題はタイヤの選択です。
BSの「REGNO」やYOKOHAMAの「DNA−db」などの高級タイヤであれば文句ないところですが、これらは1本2万円以上もする高価タイヤです。タイヤだけで8万円以上もするのは、ちょっと辛い(;_;)
となると、選択肢は以前クロノスに履かせて、割に好印象であったDUNLOPの「ルマン LM702」しかありません。
このタイヤの良いところは、「乗り心地が良い」「音が静か」、それに何といっても「価格がリーズナブル」な点です。
「REGNO」や「DNA−db」より、4本でなんと2万円以上も安価に済みます!
しかし、欠点もあります。「細身なので、同じサイズでも見た目の迫力に欠ける」「乗り心地重視で柔らかいサイドウォールを採用しているので、ステアリングレスポンスがダル」「グリップ力はあまり高くない」等です。とりわけ、ステアリングレスポンスとグリップ力の点については、プントに履かせてみて、ちょっとがっかりしました。
行きつけのタイヤショップのお兄さんに、そのような相談としてみたら、こんな面白い話をしてくれました。
実は2ヶ月ほど前、BS社がREGNOの宣伝の為に試乗会を開催して、うちのショップの店員が何人か招待されたんです。
各社のタイヤを装着して、スラロームやスキッドパッドなど様々な試乗コースを走行させてもらいました。
REGNOの快適性や走行安定性は予想通りだったのですが、皆が「予想以上に良かった!」と感心したのは、実は比較のために用意されたピレリーの「DRAGON」というタイヤなんです。発売直後で皆初めて試乗したのですが、ピレリーの最高峰『P
ZERO NERO』にほとんど遜色ないほど良かった」という感想でした。
うちはダンロップの系列店なので、普通ならルマンをお勧めするんですけど、サンデー・パパさんのように操縦性も重視されるのであれば、「DRAGON」は気に入られるかも知れませんね。
とのこと。
その試乗会での店員の方々の評価は、概ね次のようだったとか。
●乗り心地 → ルマンに比べると少し固いが、予想外に良かった
●騒音 → ルマンより静かだった
●ステアリングレスポンス → ルマンよりも断然、上
そんな話にグラグラと心が揺らぎ、ルマンを注文する予定だったのに、「DRAGON」を注文してしまいました。
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自宅に帰って色々と調査したところ、「DRAGON」にはこんな裏話があったようです。
ピレリーは自社の最高峰タイヤを発売すべく、何種類もタイヤを開発して比較テストしていました。その中で最も評価の高かったタイヤが、現在「P
ZERO NERO」とネーミングされて販売されています。
ところが、テストの最終選考で「P ZERO
NERO」に僅差で破れたタイヤがありました。しかしとても素質の良いタイヤだったため、社内でも「このままお蔵入りさせてしまうのは惜しい」との意見になり、これが「DRAGON」とネーミングされ発売されることになった。
という話です。こんな話を聞くと、とても期待してしまいますね!
外観は見ての通り、トレッドパターンが左右非対称のうえ、斜めの溝がクロスしているので、ちょっと違和感を感じます。このデザインは恐らく評価が分かれるでしょうね。
肝心の性能は、タイヤショップの店員さん達の評価通りなのでしょう?
結果は、一番下の試乗インプレッションでお知らせします。
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OZの「Canyon」は、こんなホイールです。
写真では比較的平面なデザインに見えますが、スポーク部分は微妙なカーブを描いていて、結構立体的なデザインになってます。
ホイールを正面から見るより、斜めから見たときの方がデザインを堪能できます。
ところで、ベクトラのPCDは110mmと特殊なので、ホイールの選択肢は限られてきます。
OZはこの点、幅広いPCDに対応していて、ラインナップが豊富なんです。
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と思いきや、実はこのホイールのPCDは108mmで、ボルボ用のサイズなんです。
これを110mmのハブに装着するために、なんと、こんなトリックを使ってるんです。
これは「スライドボルト」というOZだけの特許?で、ボルトの傘の部分だけが、本体と別になっています。傘にはボルトより2mmほど径の大きい穴が空いているので、傘の部分だけずらして締めることができる仕組みなんです。なんだかインチキですよね。
OZは良くこの手を使います。プントも98mmという特殊なPCDで、選択肢に困ったのですが、OZだけは結構ラインナップが豊富でした。このため、プントに乗る知人が「F1CUP」というOZのホイールを購入したのですが、「実はホイールのPCDは100mmで、このスライドボルトが付属してきた」と不満を漏らしていました。
そんな話を聞いていたので、ひょっとして・・・・? 案の定、予想が的中してしまいました。
「こんなボルトで本当に大丈夫かいな!?」という印象ですが、ベクトラ用のハブリングを装着すれば、センターは狂わないという能書きです。
まあ、OZのスライドボルトは実績も長いようなので、問題はないんでしょうね。
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このホイールは、オフセット35mmで、リム幅は7.5Jです。
ノーマルホイールは、オフセット49mm、リム幅6Jなので、計算上はリムの側面が、ノーマル比33mm外側に出っ張ることになります。
装着したところ、ノーマルホイールでは情けないほどタイヤハウスの奥に引っ込んでいたタイヤが、ここまで外に出てきました。
もうほとんどツライチ状態です。
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フェンダー部分を上から見ても、このように、全然迫力が違います。
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リアに至っては、ツライチを通り越して、はみ出しているようにすら見えます。
ベクトラのバンパーは前後が絞り込まれているデザインのため、はみ出しているように見えますが、実際は一歩手前で収まっています。
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前から見ると、リアははみ出さずに収まっていることが分かります。
でも、本当にギリギリの感じです。
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あまりにギリギリなので、タイヤショップの人に頼んで、試しに後輪をフルストロークさせる実験をしてみました。
方法は、後輪の片側だけブロックの上に乗り上げて、トランクに外したタイヤ&ホイールを積んで、さらに店員さん2人がトランクの縁に身を乗せて、勢いを付けてサスペンションをストロークさせるものです。
結果は見ての通り、鉄製のフェンダーの折り返しにはギリギリ接触しませんが、フルストロークすると、バンパー側のインナーにちょっと接触します。
普通の走行ではほとんど問題ありませんが、後席に大勢人を乗せて大きな段差を乗り越えたりすると、わずかですがインナーに接触することがあります。
もしもダウンサスを入れて車高を落とすなら、インナーを少し加工してやる必要がありそうですね。
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さて、タイヤ&ホイール新調後のベクトラ全体像は、こちらのページです。 |
●試乗してみての感想です。
さっそく試乗してみました。
30kmほど慣らし運転した後、郊外のカーブの多い道路や幹線道路を中心に、ハイペースで走行してみました。
<ロードノイズ>
実に静かです! この静けさは確かにルマンより上です!
舗装が良く整備された路面では、高級タイヤにも引けを取らない静けさです。
舗装の傷んだ路面や、吸水性の舗装路ではさすが少しうるさくなりますが、ノーマルの「ゴーッ」「ザー」という音が「シャー」「シュー」というまろやかな音質に変わったため、あまり苦になりません。
難を言えば、速度によって時々「ボーン」という小さなうなり音が聞こえることがあります。
何と表現すれば良いのか分かりませんが、タイヤの中の空気が振動に共鳴しているような感じです。
もしかすると、ホイールの形状が影響しているのかも知れません。
<乗り心地>
扁平率65%のノーマルタイヤと比べるのはナンセンスなのですが、敢えて比較してみました。
結論は、扁平率45%とは思えない、場合によってはノーマルを上回る乗り心地の良さです。
舗装の良い路面の乗り心地は、全く問題ありません。
舗装の荒れた路面では、ノーマルより接地面積が広い分だけ路面の凹凸を多く拾うため、どうしても「ゴロゴロ」した感はあります。ただし、不快に感じるレベルではありません。
舗装の継ぎ目や小さな段差を乗り越えた時は、こんな感じです。
<ノーマル>
「ドン!」(段差に当たった部分のトレッドが凹む音)
→ 「バン!」(凹みで高まったタイヤ空気圧の反発音)
→ 「ボヨ〜ン」(変形したタイヤが一度で元に戻らず、何度か微振動している感じ!)
<DRAGON>
「タン!」(段差に当たった部分だけでなく、トレッド全体で衝撃を受け止めてる感じ)
→ 「シュッタッ!」(段差によるタイヤの変形を一発で元に戻して、すかさず接地している感じ!)
ちょっと大袈裟ですが、こんな違いです。しっかり感があるので、実に気持ちが良いです。
難を言えば、39千kmを走行したノーマルのサスペンションでは、バネ下荷重の大幅な増加を完全に受け止めることができないので、洗濯板のように大きな凹凸が連続した路面を走行すると、「ドタドタドタ」とタイヤが暴れます。
この点は、もう少ししっかりしたショックアブソーバーに交換したいところですね。
<ステアリングレスポンス>
スポーツタイヤのように超クイックなレスポンスではありません。しかし、ステアリングを切ってからクルマが回頭するまでのタイムラグは、ほとんど感じません。また、ステアリングの切り角に素直に反応する感じなので、例えば80km/h程度でコーナーを旋回している際中でも、わずかに舵角を当てるだけで容易に軌道修正することができます。
低速度域よりも、そこそこスピードを出した方が、レスポンスの良さを実感できる印象です。
<走行安定性>
スポーツタイヤのような強大なグリップはありませんが、しっかりしたトレッド面のおかげで、コーナリングは安定しています。
けっこうな速度でコーナリング中に、試しにステアリングを左右に荒っぽく操作してみましたが、突然グリップが無くなって破綻するような動きはありませんでした。常識的な速度では、重たいV6エンジンを積んだベクトラでも、アンターステアーはほとんど感じません。
また、荒れた路面や大きな「わだち」のある路面でも、ステアリングを取られることはほとんど無く、直進性も良好です。
<総評>
まだ雨天を走行していません。また、トレッドが摩耗するとどの程度性能が低下するかは分かりません。
ただし、少なくとも上記の走りにおいては、全ての面でルマンより上。REGNOやdbにも引けを取らないという印象です。
しかもこれで、『価格はルマンと全く同一!』というのですから、とってもコストパフォーマンスの高いタイヤですね。
スポーティーサルーンのオーナーには、絶対にお勧めのタイヤだと思います。
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